Close to ~祈りの丘~ 4月14日~21日「祈りの丘」
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4月14日

あの事故から1週間が経った。俺は、例の岡山百恵が何なのかを突き止めるべく遊那のアパートへ行く。しかし、何もわからなかった。というか面倒なのですぐに窓から外へ出た。学校へ行くと既に放課後だった。遊那と翔子は退行催眠の約束をして下校した。ということで再び遊那のアパートへ。翔子はまだ来ていないが、遊那は遊那で岡山百恵のことをすっかり忘れてしまっているようだ。翔子に聞いてもらえばよいと気付いた俺は、早速翔子の部屋へ。相変わらずの凄まじさ。翔子は不在だったが、携帯があったので、「岡山百恵を見ろ」と遊那にメールを打つと、すぐに遊那のアパートへと引き返しました。さすが幽霊、メールが着信するよりも早く到着したようです。それを見た遊那は、クローゼットからダンボールを引っ張り出した。そこには「岡山の桃」と書かれていた。あれだけ引っ張っておいて、そのまんまかよw。

そして、遊那はプルタブのキーホルダーを見つけてくれた。
「これは……え~とぉ……え~とぉ」
ともったいぶった挙句
「どこの鍵だっけ?」
どうやら違う方に注目しちゃってます。

しばらくして翔子が到着。早速退行催眠を開始するや、速攻でかかる遊那。遊那がアレなのか、翔子が凄いのかよく分からん。4月2日に退行した遊那。これからデートに出かけるという。
「誰と?」
と翔子が尋ねると
「それは……それは……それは……」
じれったい
「元樹、だよね?」
と翔子が聞くと
「ーー違うっ!!」
ズッコーーーーーン!!!!
そして「そんな人知らないっ!!」と叫び出す遊那。慌てて遊那をなだめる翔子だが
「ーー痛いっ!!頭が……頭が……割れそう……」
と苦しみだした。何だかやばそう。
「ショコラ……助けて……助けて…………お願い……」
「……たすけて…………たすけて……」
「……たすけて…………もと……き……」
さすがにやばくなって翔子も催眠を解くしかなかった。遊那は最後に俺の名前を口にしたが、催眠は失敗だったのだろう。これ以上遊那を苦しませることはできないと、俺は生き返るのを諦める決意を固めたのであった。
4月15日

覚悟は決めたつもりだったが、身体は自然と遊那のアパートの前に来てしまった。部屋に入るとチャイムが鳴った。誰かと思いきや龍作のヤツだ。あの時は俺のことを思い出して諦めた龍作だったが、どうしても諦めきれず来ちゃったようです。
「断って欲しいんだ……直接、断ってくれないと、ダメなんだよ……」
龍作的にもモヤモヤしたものを消して欲しいのだろう。
「今日、一緒に写真展に行かないか?」
と改めて申し込む龍作
「ごめんなさい」
とあっさり断る遊那。多少の期待はあったであろう龍作哀れ……
遊那は、今日の誕生日に「絶対家にいろ」と、「もとき」という人に言われた気がするのだと言い出した。しかも、「ショコラんちとか、レンタルビデオ屋とか、コンビニとか……とにかくどこにも出かけないでくれ」ってとやたら詳しい。記憶が戻りつつある?ともかく、話が一気に進展しそうな気配です……

龍作が帰った後、一人部屋でため息ばかり付いている遊那。そこにチャイムが鳴り響く。宅配が来た。早速お届け物の中身をチェックする遊那。中には指輪が入っていた。一緒に入っていた手紙を読む。勿論そこには俺の想いの丈が書き綴ってある。
遊那へ……
初めてに断っておくけれど
この指輪は僕からのプレゼントではないんだ
今から8年前の今日……(以下ry

遊那は俺との想い出の数々を走馬灯のように思い出し
「元樹……元樹……ごめんなさい……元樹……」
と言って泣き続けていた。俺は居たたまれなくなって外へと飛び出し、これで良かったのかと自問するのであった。そして、遊那のためにも、生き返って抱きしめてやるのだと、誓いを新たにしたのである。
どっちやねん!!
4月16日

遊那は学校を休んで、俺の病室に来ていた。俺の手を握り締め
「元樹……」
とだけ言葉を発し、後は泣くだけだった。俺は何もできない自分を恨んだ。

面会時間が過ぎ、帰宅した遊那の後を追うように遊那の部屋へ。しばらくすると外で猫の鳴き声がする。遊那に気付かせようと窓に念を送った。部屋に入ってきたのは例の白猫だった。俺の事故を自分のせいだと責める遊那は
「これ……この指輪……ゆーな、もらう資格なんかないんだ……」
と言うなり、白猫の首に付けてあげてしまった。そんな遊那を見ているのがつらくなり、俺は部屋を後にした。
4月17日

遊那が病室にやって来た。何も口にしていないらしくやつれた様子。それ以上にベッドに横たわる俺の身体が衰弱してましたが。とにかく、急いで何とかしないとならない。遊那は、死にかけの俺に向かって、最後のデートとなったあの日の思い出を語りかけていた。公園で頬に付いた泥を俺の服でこすり落とした時の真似をして
コシコシコシ……
コシコシコシ……
4月18日

今日も遊那は病室へ。ますますやつれる遊那と更に干からびていく俺……。今日の遊那は、白い猫のことを俺の半死体に語りかけている。例の、遊那が白い猫を助けて、俺が遊那を助けたというアレみたいです。俺はその時のことを覚えていないのだが、遊那がカラスに向かって石かなんかを投げて教会のステンドグラスを割ってしまったとか、その時俺にもらった宝物は今も大事にしまってあるとか。ん?プルタブではなくて?ということで俺は教会へ。霊感少女はいない。ステンドグラスのあった裏庭へ回ってみるが、どうにも思い出せません。というか、思い出してはいけないような気がしていた。
4月19日

半死体の俺の自立呼吸が停止した。主治医は「もはや、時間の問題だろう」とか言っちゃってます。今夜が山田とも……。覚悟はできているが、このまま死んでしまっては遊那を深く傷付けてしまう。せめて
「お前のせいじゃない」
と一言伝えたかった。

俺は翔子の部屋に向かった。そして、翔子の携帯を手に取った。死が近づいているからだろうか、俺の能力も上がっているようで、携帯を自分で持つことすらできるようになっている。遊那宛てにメールを送ろうと、「も・と・き」と打ち込んだ時、かつて遊那と携帯のかな変換のクイズをやった時のやり取りを思い出す。「もとき」を消して、1112324493と打ち込んで送信。すぐに遊那の部屋へ飛んで行った。数字が羅列しただけのメールを受け取った遊那は、最初は翔子のいつものなぞなぞメールかと思っていたが、遊那もあの時のことを思い出して愕然とした。勿論あの数字が意味するのは「あ・い・し・て・る」であり、かつて遊那が俺に出した問題でもあった。にわかには信じられない様子の遊那に、俺はテーブルをトンと叩いてみせた。びっくりして振り返り
「ーーいるの!?--元樹!?」
と叫ぶ遊那に、俺はまたテーブルを叩いて合図をした。遊那も気付いて紙にテーブルを叩いた数を記入していく。

「74557114(め・の・ま・え)」
目の前にいるであろう俺に向かって手を伸ばす遊那だが、その手は俺をすり抜ける。携帯持ったりメール打ったりできるなら、俺が触ればよくね?と思ってしまうのは野暮ってものか。
「会いたいよぉ……」
と泣きながら言う遊那に
「お・れ・も・あ・い・た・い」
とモールス信号で答える。ちょっと味気ないやり取りではあったが、神にその意思が通じたのか、突然俺の体が光に包まれた!?

俺と遊那はついに再会を果たした。手を重ねてお互いの感触を確かめ合う。
「元樹ぃ……ごめんなさい……ゆーな……ゆーな……」
「何で謝るんだよ?遊那が謝ることなんか、何も無いだろ?」
「だって……だって……」
「怒るぞ!遊那。オレはそんなことが聞きたくて、戻ってきたわけじゃない」
「……………………」
「オレが戻ってきたのは……」
俺は遊那の体を力強く抱き寄せた。遊那はコシコシ。もう言葉は必要なかったが、最後に
「もう、泣くな……」
とだけ言い残して消えようとしていた。
「行かないで!」
と哀願する遊那だったが、俺の体は徐々に消えていき、意識もそこで途切れてしまった……
4月20日

死んじゃったのかと思ったが、どうやらまだ生きていたらしい。心停止しながらも、強心剤投与と電気ショックにより、どうにか息を吹き返す。遊那の様子が心配になり、早速遊那の部屋へと飛んでいく。遊那は床にしゃがんで、例の鍵に付けたプルタブを見ながら想い出を語っていた。俺はその鍵に心当たりがあったようで、左の引き出しに念を送った。その引き出しには鍵穴が付いていた。遊那は思い出したように、その鍵で引き出しを開ける。そこに入っていたのは1枚の真っ白い羽が入った小瓶だった。遊那はそれを見て
「天使の……羽だ……」
とつぶやいた。その言葉を聴いた途端に、俺の目の前が真っ白くなった。

そしてそこに現れたのは小学校4年の時の光景。教会の屋根に白い猫の親子がいる。それを眺めている俺と遊那。その時、三匹いた子猫の一匹がカラスにくわえられてしまった。咄嗟に落ちていた石をカラス目掛けて投げつける遊那だったが、その石はステンドグラスに当たってしまう。それに驚いたカラスは、子猫を落として逃げていった。そこへ教会の中から神父が現れ
「割ったのは誰ですか?」
と聞いてきたので
「僕が……僕がやったんだ」
と俺は遊那をかばった。しかし、事情を察した神父は
「勇気がありますね、君は」
と言って許してくれました。そして、あの白い羽の入った小瓶をくれたのだ。
「この羽は、天使の羽です。この羽を風に飛ばすと、願い事がひとつだけ叶うと言われています」
と神父は説明してくれた。ま、まさかねぇ……

遊那もそれを思い出したのだろう、猛然と部屋を飛び出していった。そして教会の鐘に登り、そこから天使の羽を空に放り投げた。舞い上がる白い羽……。しかし、元樹は知っていた。あの羽は神父にもらった天使の羽などではないことを。天使の羽は、あの日、遊那が貯水池で溺れたあまちょー事件の時に既に使っていたのだ。今遊那が放り投げたのは、代わりに入れておいたただの白鳥の羽だったのである。

でも、そんな遊那の気持ちが痛いくらいに伝わってきた。そして俺は他力本願だった自分を反省した。かつて麻衣が言っていたように、一番重要なのは、自分が生きたいと願う意志だった。遊那のためにも改めて生きなければならないと誓うのでした。必死で願い続ける俺。そして……

気が付くと俺は教会にいた。そこにはあの白い猫がいる。遊那が首輪に付けた指輪を外して教会の中へと入ると、そこに遊那がいた。俺は遊那の薬指に指輪をはめる。抱き締め合う2人……
「愛してる?」
と聞く遊那に、俺は軽くデコピンを食らわしてやる。それに対する遊那の反応は
「わんっ」
だった。しかし、その鳴き声はいつもよりちょっぴりハスキーだった……

そしてスタッフロールが流れる。よく分からんが、遊那が教会にいるってことは、すぐに駆けつけたってこと?それとも後日談?でも、2週間も寝たきりだった人間にしては元気があるし、後者かなぁと思いながら余韻に浸る。しかし、スタッフロールが終わった直後

ピーーーーーーーーーーーーー
心電図が鳴っている。ま、まさか……
「先生!先生!穂村くんが!穂村くんが!」
看護婦の慌てふためく声が聞こえる。そして、遠くでは丘の上の鐘がきれいな音色を奏でていた。そして開いた窓から、1枚の白い羽が病室に迷い込んで枕元に落ちた。それはまぶしいくらい真っ白な羽だった……
ちょw、元樹死んだのか?と最初は思ったが、冷静になって考えてみると、復活して病院を抜け出したから心電図が止まってて、看護婦が慌てふためいてて、病室の窓が開いていたんだな。わざとそうしてるんだと思うが、こんなプレイヤーを混乱させる演出いらんだろw
(おしまい)
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