メモリーズオフ コンプリート 10月18~11月17日「truth ~真実~」

メモリーズオフ コンプリート 10月18~11月17日「truth ~真実~」


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10月18日

今日は朝の電車で唯笑が学園祭の実行委員になったという話を聞き、放課後に唯笑とニンネコを夜まで待ったけど来なかったりした。

10月19日

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学校へ行く途中、唯笑が、試験後に約束していた映画をいつにするか聞いてきた。俺は「追試があるかもしれないから。」といって先延ばしにしようとすると、「ほんとはあんまり、行きたくなかった?」とズボシを突かれてしまった。別に映画が嫌だとか、唯笑がどうこうというわけではない。俺の中に何かモヤモヤしたものがあったのだ。そして、唯笑はそれに気付いてしまったようだ。唯笑は「いいの……いいの。」と笑顔を作っているが、こんな切ない唯笑の笑顔を見るのは初めてだった。

10月20日

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今日は追試。追試の前に唯笑が話しかけてきて、俺に何かを言おうとしていたが、信が冷やかしに来たこともあって言えずに立ち去っていった。俺は追試が終わって帰ろうと昇降口まで来たが、唯笑の話が何だったのか気になったので、教室へ戻ることにした。教室から何か声が聞こえてきた。そっと半開きのドアからのぞいてみると、そこには唯笑がいた。そして、写真を見ながら泣いている。俺は声をかけることもできずに、その様子を見ていることしかできなかった。

10月23日

今日は唯笑と顔を合わせずらかったので、いつもより早目に家を出て一人で登校した。教室なら何とか普通に話せるかもと思ったが、一時限目が終わった後に唯笑は早退してしまった。ある意味ホッとした俺だったが、帰りに下駄箱を開けてみると、そこには水色の封筒が入っていた。中に入っていた紙には一言「雨はいつあがる?」とだけ書いてあった。俺の中で忘れたい記憶が甦る。そう、あの日も雨だった……
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って、彩花ってそういう事だったのか・・・。つまり、ある雨の放課後に傘を忘れた俺は、彩花に電話して傘を持ってきてもらう事にしたのだが……その電話での会話が最後の会話になってしまったと。つまり、俺のせいで彩花は……って事ですな。

10月24日

今日は唯笑の方がいつもより早く登校していた。俺は思い切って唯笑に話しかけた。「大事な話がある。」と言っても、唯笑は忙しいからと話そうとしない。俺は放課後待ってるからと言い聞かせたが、「唯笑のことはほっといで!かまわないで!」と、周りの目も気にせずに大声をあげて出て行ってしまった。結局それから唯笑が教室に戻ってくる事はなかった。実に気まずい……。俺は放課後に約束通り待ってみたが、やはり帰っては来なかった。

10月25日

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今日は唯笑は学校に来ていた。俺は2人きりで話ができるチャンスを待った。昼休みの屋上で信と出くわす。昨日サボっていた信に昨日学校であった事を説明した。理由について聞かれたが、こればかりは親友とはいえ話せない。「信には関係ない話だからだ。」と言うと、「関係……あったとしたら?」と、意味深な事を言ってきた。始業のベルが鳴り教室へと戻ったが、信のあの言葉が妙に引っ掛かった。こりゃホントに何かありそうだ。結局この日は唯笑と話すチャンスは訪れなかった。

10月26日

昼休み、廊下で偶然唯笑と出くわした。周りに他の生徒はいない。すれ違い様に声をかけたが、やはり同じだった。「もうほっといて!二度と話しかけないで!」と言って去っていく唯笑。昼休みに信とメシを食っていたら、いきなり唯笑に告白すると言ってきたが、勝手にしろと言っておいた。

10月27日

放課後に信と一緒に帰る。どうやらデートの約束を取り付けたようだ。明日一緒に映画を見に行くそうだ。やたらとデートの内容を事細かに話す信に苛立ちを覚えるのであった。ま、いかにも誘ってますって感じですが。

10月28日

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今日は唯笑が信とデートをしている。いろいろな考えが頭に浮かんできては、「関係ない」と自分に言い聞かせていた。しかし、夕方になって、俺はふと、あの「雨はいつあがる?」の手紙の意味を取り違えていたんじゃないかと、慌てて家を飛び出した。信が告白の場所にしようとしていた公園へと向かう。そこに2人はいて、今まさに信が告白しようとしていた。俺は2人の前に飛び出した。その場から逃げ出す唯笑。信に「訳は後で話す。」と言って、俺は唯笑を追いかけた。唯笑を捕まえると、唯笑は思いの丈を俺にぶちまけた。俺は黙って唯笑を抱きしめた。そして、「ずっと一緒にいような……」とささやいた。

帰り道、唯笑にいつもの笑顔が戻っていた。俺は気になっていたあの手紙の事を聞いてみたが、唯笑はそんな手紙は知らないと言う。まだ、一波乱ありそうな雰囲気……

11月5日

あれから数日が経った。付き合い始めたとはいえ、唯笑との関係は以前と同じような感じだった。信とも以前通りの付き合いが続いていた。しかし、俺は重大な事に目を背けていたのだった。

11月8日

ここ数日雨が降り続いていた。二人で家に帰る途中、唯笑が俺の頬をつまんで「プイップイッ!」とやっている。最近姿を見せないニンネコの代わりにオレの頬を使っているらしい。俺は、「俺は猫でもなければ、妊娠しているわけでもないぞ?」と言うと、唯笑は、「やっぱりあの子じゃなきゃダメみたい…智ちゃんじゃあ代わりにはならないよぉ。」「代わりになんか……なれないもんね?」と言って、少し曇った表情を見せた。別れ際に次の日曜日に遊園地に行く約束をした。どうしても雨の日は彩花のことを思い出してしまう俺の心に、唯笑も気付いているようだ。

11月11日

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今日は約束の遊園地。俺はある一つの覚悟を持ってここに来た。遊園地は彩花との思い出の場所でもある。ここで彩花の事を思い出してしまうようならもう終わりだろうと。だが、唯笑の姿と彩花が重なるのを止める手立ては俺にはなかった。帰り際、もうこんなお芝居はやめようと切り出す唯笑。「あのままほっといてくれればよかんだよ。」と言う唯笑に、「ほっとけるわけないだろ。」と言ったが、「じゃあ本当の唯笑を知っても……そのままでいられる?」と言い出すと、唯笑はそれまでずっと隠してきた真実を語り始める。彩花が事故で亡くなったあの日、道路の反対側で彩花を呼んで事故のきっかけを作ったのが唯笑だったというのだ。俺の頭は真っ白になってしまった。

この日以来、俺は誰ともしゃべらなくなった。勿論唯笑とも……

11月17日

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1週間が過ぎた。この日はどしゃぶりの雨が降っていた。放課後誰もいなくなった教室で、俺は唯笑の机に一枚の写真が入っていることに気付いた。それは、俺と唯笑と彩花の三人が写った幼い頃の写真だった。

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それを見て、かつて彩花が死んだ後に何もできなくなった俺が立ち直った時の事を思い出した。あの時、唯笑は俺にこの写真を見せて、「智ちゃんの中でも、唯笑の中でも、彩ちゃんはずうっと生き続けてるんだよ!!」と言った。その言葉が俺の心を強烈に掴んだのだ。

唯笑がこの写真を見て泣いていたのは、俺の中に自分がいない事への悲しみだったんだ。でも、頭では唯笑の元へかけつけるべきだとは思いつつ、体は動こうとしない。唯笑が彩花の事故の引き金になった事を言われたら、俺はまたどうにかなってしまいそうで怖かった。と、そこへ信が現れた。このところの状況を見て、いてもたってもいられず、本当の事を話すというのだ。

信は、俺と唯笑の気持ちを知ってどうにか結ばせようとしていたらしく、あの手紙も、唯笑に気のある素振りをしていたのもそのためだったという。罪滅ぼしのために……。あの彩花の事故の現場に信はいた。そして、周りには誰もおらず、どうすればいいかわからなかった信は、何もできずにその場に立ち尽くしていたというのだ。誰もいなかった?。俺は信に言いたい事はあったが、誰もいなかったという事を確認するとその場を駆け出した。

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学園祭の実行委員の部屋に入ったが唯笑はいない。聞いてみると、買出しに出かけているという。俺は昇降口で待っていたが中々帰ってこない。実行委員の女の子の「もう帰ってきてもいい頃なんですが」という言葉を思い出し、あの時と同じ胸騒ぎを感じるのだった。俺は雨の中を走り出した。見つからない。もしや、と思って学校の保健室に行ってみたがやはりいない。すると、「ミャアミャア」と鳴き声がする。赤ちゃん猫だった。その時カーテンが風にふわりとなびいた。俺は窓の外を覗いてみた。そこには、校庭の真ん中で傘も差さずに立っている女の子がいた。唯笑だ。

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俺は唯笑の元へと駆けつけた。唯笑は、この雨の中に捨てられていた赤ちゃん猫を拾ってきて、ここで親猫を待っているのだという。唯笑は捨てられた赤ちゃん猫と自分を重ね合わせていたのだ。俺は咄嗟に唯笑に口付けをした。「好きだったんだ……」その言葉は溢れるように自然に流れた。

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「オレの中に……唯笑はいるんだ……」
「智ちゃんの……………………バカ」
「だけど……大好き……」

エピローグ

メモリーズオフ コンプリート

あの赤ちゃん猫の母親は、そうニンニンネコピョンだったのである(本当に妊娠してたのか、唯笑の勘違いだと思ってた)。そして、それを豪雨の中に捨てた極悪非道の人間があの時のババアである。で、ニンネコをあの老婦人から奪還し、今は俺の家で親子ともども飼っている。ん?それって犯罪では……?

雨はもうあがった……

(おしまい)
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