メモリーズオフコンプリート 10月13~17日「遠い記憶」
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10月13日

朝の通学電車。唯笑と明後日に控えた中間テストの話になる。今回は信との勝負もかかっているのだ。俺は、「今日と明日の2日間で、どれだけ相手よりも勉強したか……それで勝敗も分かれるんじゃないか?言わばこの土日が天王山ってわけだ。」と決意を語る。にもかかわらず、唯笑は放課後に映画に行こうと誘ってきて、「この土日は能天気三昧なんでしょ?」とかボケてやがる。なるほど天王山と能天気三昧ね。確かに似て・・・「て、そんなことあるかぁっ!!」と俺は思いっきし突っ込んでやった。そしたら唯笑のやつ「てへっ」だってさ。やべ、ちょっとカワイくなってきた。いかん、いかんよ……
それでも誘ってくる唯笑。どうやら男女ペアで行くと女性がタダになるらしいのだ。こんな企画じゃどうせくだらんラブストーリーなんだろうと断ったが、そうではないという。「じゃあ、タイトルは?」と聞いてみると、「ひまわり組の皿洗い」。で、サブタイトルが「肝っ玉母ちゃん100日奮闘記」だという。最初は大家族のドキュメンタリーを想像した俺だったが、ヤクザ映画だと聞いて全てを理解した。それは、「組長 日向葵/血で血を争う紛争記録~チャカの100日抗争~」の事だと・・・。いつものように駄々をこね始めたので、ここは中間が終わってから行くと約束して丸く収めておいた。
授業が終わった。教師が試験中は自筆ノートの持込を許可すると言っていたが(そんな中間試験あんの?)、いつも寝ている俺がノートを取っているわけがない。とりあえず隣の音羽さんに借りる事にしたが、音羽さんは転校してきたばかりなので、最近の分しか取っていない。逆に以前の分を確保して見せてほしいと頼まれてしまった。次にターゲットにした信。勝負の相手ではあるが、「お前は丸腰の敵を相手に、自分だけ武器を使って闘おうとしている。」とか言ったら敢え無く陥落してくれた。しかし、文字が汚すぎて全く読めなかった……。俺は、「それは多分呪いだ。とりついた悪霊が、お前の肉体を操って無理やりに書き綴っている」と言ってノートを付き返した。で、最後の砦だった唯笑のノートにも解読不能な暗号が並んでいた……。まあ結局、何とか他の奴にノートは貸してもらえた。俺は家で勉強する事にした。
10月14日
今日は日曜日。一日勉強しようとはりきって起きたが、勉強道具を全て学校に置いてきてしまっていた……。うなだれるところに電話が鳴る。相手の女の子が「誰だかわかる?」と聞いてきたので、「唯笑だろ?」と即答してやった。勿論当たり。何でも英語の教科書を学校に忘れてきたらしく、どうせ俺も何か忘れてきただろうから一緒に取りに行こうという。何で分かる。面倒だったが、まあ、いいか。
教室に着き、俺はロッカーから大量の教材を引っ張り出した。しかし、それをどうやって持って帰るのかと唯笑に指摘される。そう、手ぶらで来てしまったのだ。こうなったら、ごみ箱か……

校庭に出るとニンニンネコピョンがいた。はしゃぐ唯笑。ニンネコの首輪に持っていたおもちゃの指輪を付けてあげている。俺は、「確かオマジナイだよな?」と確認したが、その通りだった。猫の首輪に輪っかを付けると良縁に恵まれるんだそうだ。円と円を結んで縁結びというわけだ。それを聞いた俺も、ポケットに入っていた紙くずで即席の輪っかを作って、ニンネコの首輪に結びつけた。
唯笑とテストについて話していると、3時限目の地理のテストは1学期に渡されたプリントを暗記しているのでバッチリだという。俺はそれがさっきニンネコに付けた紙くずであることを咄嗟に理解した。唯笑はもう必要ないから捨てたと言い、信に電話したがあっさりと断られた。俺は必死にニンネコを捜索した。5時間後ようやく発見。俺はニンネコに向かってダッシュしたが、ニンネコも危険を察知して逃げる。必死に追いかけようやく追い詰めたところに老婦人が登場。どうやら飼い主らしい。持っていた白い日傘を放り出してニンネコの元へと駆け寄った。手放された日傘が俺の方に転がってくる。

白い傘を見て、オレは彩花がお気に入りだった白い傘を思い出す。オレは日傘を拾ってその老婦人に返す。「どうもすみません」と礼を言ってはいるが、その目は明らかに嫌悪感に満ちていた。平静を装って首輪に付いたプリントを返してもらおうとしたが、首輪ごと手渡されてしまった。こんなものが付けられた首輪はもう使えないという事だろう。そして、こんなものの中には唯笑が付けたおもちゃの指輪も含まれているのである。老婦人はニンネコを抱えて去っていった。むっか~!!

ようやく唯笑が追いついてきた。オレが置いていったゴミ箱を抱えて街中を走ってきたようだ。勿論、何があったのかは話さなかった。帰りの電車、でかいゴミ箱を抱いて電車に乗っている俺の姿は好奇の目にさらされた。唯笑は話しかけても他人の振りをしている。家に着いて見たい番組を見た後、仮眠を取った。彩花の夢(?)を見た。そうか、遊園地でのデートの後、俺は彩花にコクって結ばれていたのか。
10月15日

今日はいよいよ中間テストだ。朝のホームにはいつものように唯笑の姿もある。唯笑のお母さんが、俺がちゃんと御飯を食べているのか心配しているそうで、「ちゃんとではないが食べてる!」と答えると、唯笑がお弁当作ってきてあげるとか言ってきたので、丁重にお断りしておいた。
テスト初日が終わった。どうだったかなんて聞かないでくれ。放課後ライバルである信が嬉々として話しかけてきた。この様子では相当手応えがありそうだ。今日のテストがどうだったかと聞かれ、ダメだったとも言えず、「良くはないが、悪くもない」と答える。これが今日の俺にできる精一杯の見栄だった。「俺もそんなもんだ。」と返す信は、どうにも余裕たっぷりといった感じである。
帰ろうかと思ったところに今度は唯笑がやってきた。「智ちゃんっ、もうどーしよぉっ!」と言いながら後から抱きついてきた。というよりタックルされたと言った方がよい。唯笑を落ち着かせ、「で、何がどうしたんだ?」と聞いてやる。ちょっとしたケアレスミスをしただけのようだ。今の俺には神経を逆なでされるような愚痴である。呆れた俺は唯笑を放って教室を出て行った。それでも後から俺の名前を大声で呼んで追いかけてきたので、俺はダッシュで逃げた。

階段で今度は双海さんと出くわした。足元に置かれたクロークバッグには数十冊近くの本が入っていた。図書館の本かと思って聞いてみると、それは全て双海さんの私物だという。「あ、そ、そうなんだ……」と、ちょっと呆れる。これから図書室に行くというので、テスト勉強はどうするのか聞いてみたら、これからやるという。一緒に勉強しようと提案してみたら、あっさりオーケーしてくれた。意外だ。
図書室で2人で勉強を始める。分からないことだらけの俺が一方的に双海さんに質問する展開となり、思わず「もしかして、オレってすごい迷惑なヤツ?」と言ってしまう。すると、今度は双海さんから「『とういん』とは何のことでしょうか?」と聞いてきた。気を利かせてくれたのに、ここで分からないとも言えないので、「中国の韻書で『切韻』を増訂したもの」と参考程度にと前置きして答えると、今度は「この『かくる』というのは?」と聞かれたので、「『隠れる』の文語形」とこれも適当に答える。最後に「『べし』の意味は何でしょうか?」と聞いてきたので、「確か……未定だったと思う。」と自信無げに答えておいた。<注意:全部間違った答えです>
しばらく勉強した後、双海さんと話し込む。彼女は本が読みたいから勉強する時間がないのだという。親は何も言わないのかと聞いてみたが、彼女の父は高名な遺跡発掘家のためほとんど家にはいないのだ。それに、そのために転校も多くて、いくら学んでも無意味なものになってしまうからいいのだという。「今すぐ転校するわけじゃ……」と言うと妙な空気が流れたので、一瞬まさか、とは思ったがそういうわけではなかったようだ。突然の別れなんて、二度と経験したくないのでホッとした。ああ、やっぱり彩花は突然転校してしまったんだな。俺は双海さんに「ずっと一緒だといいな。」と言った。驚いた双海さんがどういう意味か聞いてきたので、慌ててごまかす。彼女は「そうですか……」といって再び沈黙してしまった。

時間も遅いので、彼女を家まで送っていくことにした。後片付けを済ませた彼女は、大量の本を抱えていた。……何も言うまい。帰り道に、この辺にお侍はいないのか?とか素で聞いてくるし、常識キャラだと思ってた詩音よ、お前もか……
10月16日

テスト2日目が終了した。昨日の双海さんとの勉強のおかげか、今日は結構自信がある。対照的に暗い表情の音羽さん。転校したてでかなり苦労しているようだ。がっくりしながら教室を出て行った。さて、俺も帰ろうかなと思っていたら音羽さんが戻ってきた。そして、俺に漢文の辞書を貸してくれというので快く貸してあげた。しかし、音羽さんが必要ということは、当然俺にも必要なわけだ。そう、明日は漢文のテストがあるんです。その後押し問答があったが、最終的には音羽さんに貸してあげることにした。
で、どうにかしようかと思ったが、こんな時に限って信のやつも唯笑のやつもすでに教室にいない。唯笑に余りがあるか聞いてみるしかないなと電話をしてみたが、まだ家には帰っていなかった……
10月17日

3日間に渡って行われた中間テストが遂に終了した。全てから開放された俺は、ヤマが外れて落ち込んでる信と帰りに喫茶店に寄って行く。すると、信があらたまって聞きたいことがあるというので聞いてみると、「智也ってさ、唯笑ちゃんと付き合ってるの?」とか言い出してきた。俺はやんわりと否定したが、「本当は唯笑ちゃんのこと好きなんだろ?」とかしつこく聞いてくる。前々からそんなこと言っていたが、今日は一段としつこい。俺の中に一瞬とまどいも芽生えたが、思いっきり否定してやった。どうやら、信のやつはまだ分からないとは言いつつも、唯笑に気があるみたいだ。画面の中の俺は気付いてないようだが、どうみても俺を炊きつけようとして信の奴がわざとやってるようにしか思えません。
(つづく)
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